いびき
いびきがもたらす体への影響
睡眠の最大の目的は「疲労回復」です。しかし「寝ても疲れがとれない」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、睡眠の長さではなく「質」に問題があり、慢性疲労を起こしている方が非常に多いのです。
睡眠の質を悪化させる大きな要因の一つは「いびき」です。世間では「いびき=よく眠っている証拠」と思われがちですが、これは大きな誤解です。いびきは、舌の筋肉が喉の方へ落ち込み気道が狭くなることで発生します。いびきをかいて気道が狭窄あるいは閉塞すると、睡眠中の呼吸で取り込める酸素の量が大幅に減り、脳が慢性的な酸欠状態に陥ります。すると、脳に酸素を供給しようとする自律神経が慌てて血圧・脈拍を上げるので、眠っているにもかかわらず運動しているのと同様の状態を引き起してしまいます。これでは疲労回復できるはずがありません。
つまり、疲労回復のためには、いびきを改善して睡眠中に自律神経をしっかり休めることが何よりも重要なのです。
いびきによって睡眠に支障をきたしている人は国内で約2,000万人とされており、成人の4~5人に1人という高い割合です。特に体の機能が衰える中高年は、いびきが睡眠に支障をきたすリスクが高まります。なかでも、気道が完全に閉じてしまい断続的に無呼吸・低呼吸が発生している場合は、「睡眠時無呼吸症候群」という病気と診断されます。
また、深刻度が高い睡眠時無呼吸症候群に陥っているにもかかわらず、無呼吸・低呼吸の自覚がない方も大勢いらっしゃいます。
女性は男性よりもいびきに注意が必要です。一般的に女性は男性よりも肺活量が小さく、元々酸素を取り込める量が少ない傾向があります。さらに女性の中には貧血や低血圧の方も多いため、いびきをかくと自律神経への負担が大きいのです。
睡眠中のエネルギー消費
呼吸は、横隔膜を下げて胸腔を陰圧にすることで肺に外界の空気を吸い込む動作と、逆に肺から空気を自然に送り出す動作で構成されています。これは風船を膨らませることが大変なのと同じで、いびきのない健康な方でも実はかなりの運動負荷が生じているのです。人はそれを休みなく24時間死ぬまで繰り返しています。なにひとつ運動しなくても毎日生きているだけで約2,000キロカロリーのエネルギーを必要とするのも、呼吸にかなりのエネルギーを要しているからと言われています。
海外の報告では、いびきがひどい場合、睡眠中の呼吸に通常の10倍の労力を要することがあると報告されています。呼吸はただでさえ運動負荷が大きいものです。この状態が一晩中続くと、疲労が回復するどころか更に蓄積してしまうこともあります。
こんな症状ありませんか
- よく眠れない
- 朝起きるとのどが痛い
- 日中にひどい眠気に襲われる
- 家族にいびきがうるさいと言われる
いびきをかきやすい人の特徴
- 肥満
- 顔の骨格(えらが張っていない小顔、など)
- 加齢(自律神経機能の低下、呼吸に関連する筋力の低下)
- 扁桃腺肥大や鼻炎
- 神経系の病気
- 女性ホルモンの減少(更年期にさしかかる35~50歳からいびきが始まるケース)
当院で行っているいびき検査
就寝前にご自身で機器を装着していただき、睡眠中の呼吸、心拍と酸素飽和度を測定します。中途覚醒や睡眠熟睡度、睡眠時無呼吸の有無はもちろん、いびきの有無、いびきの呼吸への影響などがわかります。入院不要で、ご自宅にて一晩で実施できる手軽な検査です。
※健康保険が3割負担の方の場合、自己負担額は2,700円程度です。
※同検査をすでに他院で実施されている場合、保険適用とならない場合がございます。
当院で行っているいびき治療
当クリニックは保険診療を中心としていますが、いびきがあるものの睡眠時無呼吸症候群と診断されなかった方向けに、「自費CPAP治療」を自由診療にてご提供しております。
院長からのアドバイス
慢性的な疲れを感じるもののいびきの自覚がない方は、一緒に暮らす家族やパートナーに確かめてみて下さい。最近ではスマートフォンのアプリを利用して調べる方法もあります。
また、女性の更年期のいびきはスースーと小さな音しか鳴らない「隠れいびき」の場合もあり、注意が必要です。睡眠の質がわかる検査は保険適用ですので、気軽にご相談下さい。